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部はサルの周上隆起をわずかにかぶる程度にした。また、左右の耳は露出させ、耳前部(モミアゲ部)は顎間接にかかる程度の位置、また、後頭部はサルの首のあたりまで下げてかなり深い形状とした。ヘルメットの内部にはウレタンの板を張り付けることによって、頭皮に張り付けた電極を押さえつけるように工夫された。
第3段階として、ヘルメットを頭部に固定するためのベルトを作製した。ヘルメットの固定用には、左右の耳前部の下端と後頭部の下端に布ベルトを接着固定し、この3本のベルトを、サルの首に首輪状に回して固定した別の市ベルトにボルト・ナット(6φ、10mm)で固定した。
ヘルメットは、下記のサルへのヘルメット装着の慣化の過程で数回の改良を重ね、最終的に実験用のヘルメットが完成した。ヘルメット作製に着手してから完成するまでに、1年以上の期間を要した。

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写真2.2.4−1 完成したヘルメットを装着された被験体

 

4)ヘルメット装着への慣化
本実験の実施の前に、サルにヘルメットの装着感を慣らすため、慣化を行った。なお、特別なハンドリングは行わなかった。しかし上述のようなヘルメットの作製のための型取りや、型合わせ、以下のような試作ヘルメットの装着試験を繰り返したことにより、結果的には良好なハンドリングが行われていたと考えられる。それは、後述のように、本実験の過程において、被験体が一度もヘルメットに手をやらず、少なくとも表出された行動としてはヘルメットに対する抵抗感や違和感を示さなかったことに表れている。
ヘルメットの装着は、あらかじめ剃毛された被験体に対して麻酔下で行われた。装着の手続きとしては、まず、布ベルトを首輪状にしてボルト・ナットで固定する。この首輪に対して、左右の耳前部の下端と後頭部の下端に取り付けられた別の3本の布ベルトを、ボルト・ナットを用いて固定した。
試作第1号のヘルメットは、ヘルメットの後頭部が短く、全体としてサルの頭上を充分に覆っていなかったと思われる。第1号ヘルメットを装着された被験体は、麻酔から覚めた時、極度のパニック状態に陥り、飼育ケージ内の壁やステンレス製のバーにヘルメットを激しく押しつけたり、首を大き

 

 

 

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